初夏
栃木 宇都宮 飯田 国夫
麦の穂をたなびかせては風あそぶ隅からすみへと行きつ戻りつ
初夏の風田んぼをなでて山影を映す水面に小波の立ちぬ
評
風の動きをよく見つめて丁寧に詠まれました。2首目、田んぼに風の渡っていく様子を生き生きと捉えています。清々しい一首です。短歌締切り
宮城 仙台 宮城美智彦
まだ出来ぬ投稿締め切り迫る中気持ち焦るも歌浮かばない
「やっと詠めた」嬉しさよりもほっとする毎回続くか焦りと安堵
評
投稿の締め切りに間に合わせようと、一生懸命作歌に取り組もうとしている姿が伺えます。2首ともに素直な心を見事に詠まれました。父と母
群馬 伊勢崎 工藤 千佳
台所仲良く立つは父と母大きな背中と小さな背中
食卓で聞いているかと問う父に「なんだっけ」と母はとぼける
評
ご両親の仲睦まじい様子をよく見つめられています。台所も具体的で良いですね。2首目、ご両親の何気ない会話が作者の心を支えてくれているのでしょう。○
宮城 仙台 船田 究
十五年決別していた父親に謝り許され涙でつながる
許されて涙とともに溢れ出す堰き止めていた父母との思い出
評
父親との関係が修復された瞬間を見事に一首にされています。2首目、涙とともに清められ、ご両親との絆がさらに強まった素晴らしい一首です。○
山形 山形霞城 小間 惟吏
凍ついた野辺の静けさほどけゆき春の息吹は大地を抜ける
まんまるの梅と目が合う台所年に一度の手仕事の朝
評
春の訪れを実感した様子を見事に一首にまとめています。2首目、梅を生き生きと捉え、これから漬けようとする意気込みを感じる一首です。○
群馬 高崎中央 天田由美子
忙しくて庭のあちこちニョキニョキと気づけば一面雑草畑
油断して庭のあちこち忽(たちま)ちに強い雑草太刀打ちできず
評
なかなか草取りが出来なかった作者なのでしょう。草の生い茂る様子がよくわかります。2首目、結句に作者の心の様子がよく表れています。蛍火
福島 福島中央 多田 正則
静寂の富士高原に蛍舞う光の調べ幽玄に誘う
雨上がり富士の裾野のせせらぎに蛍の囁きほのかに光る
評
静寂の中に蛍の待っている様子を見事に捉えています。2首目、小さな蛍の光であっても、大自然の力を感じてる様子がよくわかります。孫
栃木 宇都宮 宮尾 幸子
孫娘見つめる先に何見るや職人目指す新人研修
男孫BBクリーム身だしなみとつけるその目に野心も秘める
評
何かの職人を目指しているお孫さんなのですね。2首目、最近は男の子でもBBクリームを付けますね。野心を秘めている様子をよく見つめられました。梅雨近し
秋田 秋田北 江畑真理子
梅雨待ちて稲の若苗さやさやと風にそよいできらめき光る
雑草の生命力に感服す抜いても切っても終わらぬ草取り
評
臨場感あふれる一首です。稲の若苗の様子をよく見つめて詠まれています。2首目、草取りの大変さがよく伝わってくる短歌です。短歌
又一人家族旅立つ悲しみに人生の忌避受け留め生きる
(北海道 札幌東 西森 善直)
(北海道 札幌東 西森 善直)
最新のスマホカメラで写しても心の様は詠むことできぬ
(群馬 桐生法人 髙田 聡)
(群馬 桐生法人 髙田 聡)
志遂げられたのは五十年連れ添いくれた貴女のお陰
(宮城 仙台 松木 英一)
(宮城 仙台 松木 英一)
亡き父の想い知らずにすれ違いやっと気付きて涙あふれる
(宮城 大崎 佐藤智恵子)
(宮城 大崎 佐藤智恵子)
月の道海に静かに光りおり迷いを置いて進むと決める
(岩手 北上法人 佐々木富士子)
(岩手 北上法人 佐々木富士子)
公園の古木の桜ひとり観る幼き頃の友は元気か
(山形 山形霞城 土屋 和浩)
(山形 山形霞城 土屋 和浩)
帰省した息子の顔に疲れ見え思わず囁く「帰ってきたら」
(秋田 秋田北 藤原 芳子)
(秋田 秋田北 藤原 芳子)
今日はカフェ明日は旅先の宿にいて場所を選ばず働くきままさ
(群馬 桐生法人 関 龍二)
(群馬 桐生法人 関 龍二)
あまたある植物の名前知りたくてスマホ片手に野道を歩く
(群馬 伊勢崎 高橋美智子)
(群馬 伊勢崎 高橋美智子)
古希迎え体力頓におちてきて動作鈍くも気持ちは若い
(宮城 仙南法人 伊藤 吉一)
(宮城 仙南法人 伊藤 吉一)
雑草と見分けつかぬも稲の苗伸びて秋には恵みもたらす
(栃木 那須野ヶ原法人 川子 修)
(栃木 那須野ヶ原法人 川子 修)
垂れ篭める雲の連なりうつすのは我が心根の憂さの重さか
(群馬 桐生法人 後藤 直子)
(群馬 桐生法人 後藤 直子)
寝坊してバタバタ用意をしていたら「朝からうるさい」と妻の一撃
(岩手 盛岡 伊五澤昇志)
(岩手 盛岡 伊五澤昇志)
カスリーンと言う台風と同い年人生半ば今日も明るく
(群馬 桐生法人 村井 英夫)
(群馬 桐生法人 村井 英夫)
黄砂舞う街の景色はグレー色せめて心は青空仰ぐ
(山形 山形霞城 佐藤れい子)
(山形 山形霞城 佐藤れい子)
朝四時にカッコウの声響ききて布団の中で挨拶交わす
(栃木 那須野ヶ原法人 鈴木御神子)
(栃木 那須野ヶ原法人 鈴木御神子)
頼むから食べ過ぎないで労わって古稀を起えたる夫に呟く
(山形 山形霞城 本間 千恵)
(山形 山形霞城 本間 千恵)
春の花あせることなく咲き競い木々は緑を増して輝く
(福島 福島中央 熊坂 幸洋)
(福島 福島中央 熊坂 幸洋)
もったいなく使えぬままのバカラにて息子と酌める母の日の夜
(北海道 札幌東 竹中 優子)
(北海道 札幌東 竹中 優子)
誕生日お祝いもって会いに行く笑顔の孫に喜びもらう
(宮城 大崎 髙橋かほる)
(宮城 大崎 髙橋かほる)
お別れと感謝伝える訪問日ぽそりと嫗「もう来ねのか」と
(山形 山形霞城 佐藤江利子)
(山形 山形霞城 佐藤江利子)
四男の初めての子は誕生日に一升餅を背負いてポーズ
(栃木 宇都宮 湯澤 洋子)
(栃木 宇都宮 湯澤 洋子)
ハクレンの花は真白き絹のごと輝き放ち静かな装い
(群馬 前橋中央 木暮 房枝)
(群馬 前橋中央 木暮 房枝)
尾瀬小屋に一歩一歩足はこび牛どん褒美の旨さにニコニコ
(福島 福島中央 阿部 正子)
(福島 福島中央 阿部 正子)
ゴミが減り洗濯物減り家静か一寸寂しい息子の門出
(山形 山形霞城 浅倉 啓一)
(山形 山形霞城 浅倉 啓一)
有るもので食事済ませた昼下がり夫のイビキになぜか幸せ
(福島 福島中央 伊藤智才代)
(福島 福島中央 伊藤智才代)
風吹いて満開の花吹き散らす桜吹雪に酔いしれ涙
(群馬 前橋中央 山本 稔)
(群馬 前橋中央 山本 稔)
選をおえて
今月号の選を担当させていただきました。季節をとらえて丁寧に詠まれている短歌が多く、楽しんで選が出来ました。皆さんの新鮮な感覚をこれからもたくさん短歌に詠んでみてください。 何名か3首記入されている方がいました。2首以外が投稿違反になり、選外になりますのでご注意ください。また、漢字を正しく書けていない方もいました。特に今回は「分」の書き間違いが多かったです。上の部分はくっ付けず離して書きます。「今」などの屋根の部分とは違いますので、混同しないようにしましょう。