妻との日々
岡山 倉敷 宇野 良明
思いたち立ち上がったがはてさて何故立ち上がったか忘れ苦笑い
磨き上げ妻の自転車ぴかぴかに粗忽な妻の無事故を祈る
評
1首目、「はてさて何故立ち上がったか忘れ苦笑い」と、様子が良く伝わります。それは私もあります! 「はてさて」の表現が特にいいですね。2首目、奥さんの自転車をぴかぴかに磨いて無事故を祈る作者の愛が伝わります。老いと向き合う
徳島 上八万 大平多恵子
手の甲の浮く血管に老いを見てその手で顔のシミとり塗りぬ
肩甲骨意識して寄せ散歩する青田の風を全身に受け
評
2首共にしみじみ伝わります! 私は背も縮みました。知らず知らずのうちに前かがみになっており、意識して背すじを伸ばしています。顔のシミ、しわ、ありますね。さっそうと散歩する作者が浮かびます。山の道
香川 松島 萱野早枝子
ホーホケと姿の見えぬ幼鳥の練習ならん朝の山道
まんまるに太れる鳥の一団に木の実の多き山里と笑む
評
朝の散歩をされているのでしょうか? 静かな山道が伝わってきます。また、木の実の多い山里で「良かったね」の作者の声が聞こえてきます。桑の実
鳥取 境港 松本さなえ
潮風の恵みの桑の実煮る朝のジャムの香満ちて今日も始まる
波寄せて熟れし桑の実煮ることにジャム作りなる日々の暮らし
評
潮風を受けて育った桑の実ですね。我が家はl本あります。果肉のぷちぷちとした食感と爽やかな酸味、アントシアニンなどのポリフェノールやビタミンCが豊富なのは嬉しいことですが、生命力が強すぎて少し困っています。作者はジャム作りを楽しみ、「今日も始まる」「ジャム作りなる日々の暮らし」とありますので、自家用だけでなく「道の駅」などに出されているのでしょうか?受験生の孫
山口 山の田 竹内喜代美
数学の問題抱え孫の来るスラスラと解く夫眩しかり
図書館の席取り合戦大変と真剣に言う頼もしき女孫
評
数学の問題をスラスラ解いていかれるご主人さん!頼りになりますね。勉強に向かう女孫さんの様子と応援の気持ちが伝わります。春生まれ
兵庫 西神中央 永田 幸子
モノクロの写真に写る赤子の吾座布団二枚大の字に寝て
生まれた日母はせっせとミシン踏む三人目の子余裕のお産
評
モノクロの写真が時代を表わして、「座布団二枚大の字に寝て」がおおらかに育てられた様子を思いました。草刈り
香川 三豊 井上三智子
草の下小さき世界命ありひたすらにただ生きし姿かな
はや一年刈れど刈れども健やかに顔だす草の命は強し
評
1首目、「草の下小さき世界命あり」、2首目、「草の命は強し」、この表現に共感です。日々、草刈りに向き合っている作者の心が伝わります。着物
岡山 倉敷 片山千永子
亡き母の大島紬を譲られて着付けの稽古に励むこの頃
着物着て街を歩けば会う人からいつもより良き待遇受ける
評
大島紬は鹿児島人でもなかなか持っていません。風合いが良いと思います。着物姿にいつもより待遇が良かったと、そんなこともあるのですね。着物を着ると髪形も違いますし、気分も違うと表情もいつもより変わったことを想像します。嬉しさが伝わります。自炊
岡山 倉敷 安田達加志
節約にとまとめて作る弁当が意外と美味しくほくそ笑みたり
六日分大きな鍋で煮物作り一晩置けば旨み深まる
評
感心ですね! 自分で作ったものが落ち着きますね。美味しく出来たとにんまりの様子が伝わります。煮物の具材はどんな種類が入るのでしょうか? 夏の暑さに6日分の衛生管理しっかりしてくださいね。○
岡山 倉敷 大倉 近生
我が庭は模型のトンボあちこちに加勢するぞと本物あらわる
鬼やんまのブローチが蚊を防ぐという今年の夏はこれで乗りきらん
評
「鬼やんまのブローチ」は、「視覚的に威嚇する仕組みのため、絶対的な虫除け効果を保証するものではありません」と書いてありましたが、大人気アイテムですね。効果があったらいいですね。夏に向う気持ちが伝わります。ブルーインパルス
鳥取 境港 村上 勉
青空にハートを描くブルーインパルスしっかりつかんだ観衆の心
白煙引き山陰を飛ぶブルーインパルス六つの機体は乱れることなく
評
青空を舞台に描くブルーインパルスの演技に魅了されている光景が伝わります。短歌
嫁たちの話の中身は意味不明だけどなぜだか笑みがこぼれる
(兵庫 平荘 山田 惠子)
(兵庫 平荘 山田 惠子)
田植前夫の記録を頼りにしなれぬ田畑にせい出す息子
(兵庫 太子 名村 勝子)
(兵庫 太子 名村 勝子)
会えたねとなおなお嬉し年一度じっと見つめる姉の目やさし
(広島 三篠 丸下 幸枝)
(広島 三篠 丸下 幸枝)
我が足で歩けることの嬉しさよ前へ前へと心も弾む
(徳島 板野 浦屋 玲子)
(徳島 板野 浦屋 玲子)
新聞を広げたとたん寄ってきて寝そべる愛猫甘えたいのかな
(山口 錦見 広兼 雅子)
(山口 錦見 広兼 雅子)
「親なんかいらぬ」と吾子が毒矢吹く愛のパワーでかわして包む
(香川 三豊 山本 明代)
(香川 三豊 山本 明代)
急に立ち「来た来た来た」とめまいして伏したる妻に何もしてやれぬ
(岡山 倉敷 小林 勝祐)
(岡山 倉敷 小林 勝祐)
段ボールも作家にかかれば芸術品「なんでもあり」の憲武展なり
(岡山 倉敷 信定 努)
(岡山 倉敷 信定 努)
静まりし夜の田んぼに響きあうカエルの声は豊作予感
(香川 三豊 藤田 隆志)
(香川 三豊 藤田 隆志)
春うらら連なり泳ぐこいのぼりわれもふわりとはねてみたいな
(岡山 岡山中央 安田 洋子)
(岡山 岡山中央 安田 洋子)
暑くとも寒くともなく庭に出て夫と二人で雨の音聴く
(兵庫 志んぐ 堂野 葉子)
(兵庫 志んぐ 堂野 葉子)
五月晴れ世界遺産の白川郷鯉のぼり泳ぐさわやかな風
(兵庫 寺家町 高石美砂子)
(兵庫 寺家町 高石美砂子)
雨あがり陽光浴びて鮮やかに清々しきや輝く緑
(兵庫 西神中央 中津 政敏)
(兵庫 西神中央 中津 政敏)
青田の上(え)を自由に描く放物線皐月を告げるツバメの翼
(香川 松島 川田 英樹)
(香川 松島 川田 英樹)
運動会手足の先まできびきびとソーラン踊る「ゆうな」に拍手
(香川 松島 永本 節子)
(香川 松島 永本 節子)
作品の出来の良し悪しさておいて歌会の菓子に舌鼓を打つ
(香川 松島 森 香織)
(香川 松島 森 香織)
狛犬にご挨拶する子の頃に乗りて遊んだ沓き思い出
(兵庫 明石東 稲家 時江)
(兵庫 明石東 稲家 時江)
影法師朝の光をあびながらこんなに足が長いといいね
(兵庫 寺家町 平井 恭子)
(兵庫 寺家町 平井 恭子)
地蔵院門をくぐれば青もみじ息継ぎしながら参拝したり
(兵庫 三木 浅見 和子)
(兵庫 三木 浅見 和子)
目の見えぬ父が見上げるその先にあるは愛しいひ孫の笑顔
(岡山 倉敷 大西喜久子)
(岡山 倉敷 大西喜久子)
身を清め神への気持整える白装束で祈りを捧ぐ
(広島 三篠 和田恵美子)
(広島 三篠 和田恵美子)
孫を見て子を見て母を見て思うちゃんと生きよう似たもの同士
(香川 松島 安本さゆり)
(香川 松島 安本さゆり)
公園のベンチでしばし時すごす仲よく手つなぎ行く老夫婦
(兵庫 くが 兼田 絹枝)
(兵庫 くが 兼田 絹枝)
亡き母を偲び集いし従兄弟たち人の縁(えにし)を今に遺して
(鳥取 境港 古川 雅巳)
(鳥取 境港 古川 雅巳)
拭き清め廊下の奥の机上に挿す矢車草は母の想い出
(岡山 岡山中央 矢野くみ子)
(岡山 岡山中央 矢野くみ子)
昼下がり孫と過ごしつつ我が子らとこんなひとときあったのかと問う
(兵庫 平荘 谷川 優子)
(兵庫 平荘 谷川 優子)
「写経はねラブレターなの夫へのね」友はほほえむ仏のように
(兵庫 平荘 中村 公子)
(兵庫 平荘 中村 公子)
大腸ガン疑い晴れて仕事に行く夫の背中に感謝の日常
(兵庫 平荘 丸山 彩子)
(兵庫 平荘 丸山 彩子)
春キャベツ蒸して頬張る旬の味エネルギー満ち體(からだ)喜ぶ
(兵庫 平荘 渡辺 成美)
(兵庫 平荘 渡辺 成美)
誕生日に先祖の墓を参りたりおめでとうの声聞こえた気がする
(香川 松島 大熊 裕樹)
(香川 松島 大熊 裕樹)
メール打つ若者の姿勢前のめり思わず声をかけたくなりぬ
(広島 三篠 木村 恵)
(広島 三篠 木村 恵)
近年は見る事少ない鯉のぼりこれも時代の流れなのかな
(兵庫 泉 近藤 初子)
(兵庫 泉 近藤 初子)
菜種梅雨穀物達に降りそそぐおいしく育て恵みの雨だ
(広島 国泰寺 浜崎 英夫)
(広島 国泰寺 浜崎 英夫)
「また明日」夕暮れ時に聞こえくる今も残れり少年の声
(兵庫 川西 神田美枝子)
(兵庫 川西 神田美枝子)
選をおえて
先月の138名から今月は111名の投稿となり、多くの方々が飛雲集へ昇格されました。おめでとうございます。「忙しい人ほど心に空所を持ちましょう」と短歌や書道をすすめられました。「何を詠もうか?」と 一日をふり返って短歌づくりをしている人もいるでしょう。「締切り」とあわてて思いめぐらす人もいるでしょう。また、先日は私の病院の付添いの際に、夫が短歌のタネをメモしていました。自分だけの小さなときめきをどう切りとり、表現するか……。そんな時間がいいですね。続けていきましょう。