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9月 群蛍集(埼玉) 花城さかえ 選

9月 群蛍集(埼玉) 花城さかえ 選

旅先からの送り物

埼玉 蕨 木之下悦子

旅先の夫から届くレターパックけせん団子のなつかしい香り
次の日も大好物のあく巻も夫の優しさ心に沁みる
ご主人の旅先からの送り物を詠んだ2首。共に旅の味わいを感じ、楽しんでいます。粋な計らいです。帰宅後の互いの笑顔も想像して、幸せな気分になりました。

書道

埼玉 所沢中央 大橋まさよ

書友の居て長年続けやっと今合格もらい感謝感激
高等部長年続けやっと今書道は楽し喜びもらう
「継続は力なり」と言います。やり続けることで、書も自己肯定感も向上し、より楽しい書道となります。その喜びは2首の歌から伝わってまいります。おめでとうございます。

七十路

埼玉 浦和中央 服部 千春

古希来ても時にはココロささくれて仕事の帰りチョコレート食む
少しずつ老いる不安と不具合を認めはするが心は老いぬ
七十路の歌。1首目、共感、共鳴をし、一体化した気持ちになられました。結句の対処法が素晴らしい。老いる不安を素直に詠んでいる2首目、「負けてたまるか」の言葉が浮かぶ程、力強さがあります。

安堵の朝

埼玉 浦和中央 山嵜 宏子

書道誌の「支苑紹介」書き終えて安堵の朝(あした)吹く風さやか
免許証書き替え済ませ八十六歳五十余年の事無きを思う
常に即行の実践を心掛けていることでしょう。早々に行動し、一日をさわやかにスタート。2首目、86歳の免許更新。安全運転の人柄がわかります。

マイゴルフ

埼玉 さいたま南法人 志村 厳

人生とゴルフはどこか似ているねパーもあるけどOBもある
行き先はボールに聞いてファー叫ぶクラブを持って林捜索
ゴルフを楽しんでいます。良い時もありますが、コースの境界外もあるとのこと。それを人生に例え、明るい対応。2首目、飛んで来るボールに気をつけてという合図の叫び「ファー」。人生のライフスタイルが健康的。

ドラムの発表会

埼玉 蕨 木之下那津子

二年間通ったドラム教室の発表会でやりきる娘
バンド曲友と一緒でリラックス笑顔の娘リズムをきざむ
娘さんのドラムの発表会。共に満足し、楽しむ様子が伝わり、子のやる気を増幅させる2首です。

売却

埼玉 指扇 木引 直美

六十年立ってた実家の売却がおだやかに済み初夏の風吹く
六十年前はポツリと立っていた里の売却済みてひといき
60年の思い出と、ほっとするような思いを詠んだ2首。長い年月を整理した様な安堵感も伝わってきます。

親戚めぐり

埼玉 北与野 岡野 啓

久々の母の上京口実に親戚宅を巡るドライブ
何年かぶりの母へのもてなしは一日がかりの親戚めぐり
親孝行されています。久々に上京されたお母様との親戚めぐりは、作者の喜びでもあるでしょう。車内の話題も賑わったことでしょう。

雨降る日

埼玉 越谷中央 沼田みどり

雨の中自転車通学する孫を「たくましくあれ」と吾も動き出す
雨降るも四十雀二羽嬉々として枝渡りゆくを見る飽きもせず
雨の日の動作が活発になります。それは自転車通学のお孫さんに触発された1首目。2首目は、「晴れよし、雨よし、風もよし」のカルタが浮かびます。自然の中を楽しみ上手に過ごされています。

短歌

声帯を痛めた我に夫は言うやさしい声で静かもよいと
(埼玉 久喜本町 梅澤 由香)
眼が覚めて手足をぐんと動かすと今日も一日心が動く
(埼玉 領家 姫野久実子)
妹が総菜を持ち週二回来てにぎやかな夕食となる
(埼玉 青木 近藤 利雄)
突然に書道の恩師みまかりてまだまだ足りぬ受けつぐ技術
(埼玉 さいたま南法人 久慈須美子)
相見(あいまみ)え何とうれしや我が講師白寿となりても元気な姿
(埼玉 忍 竹内 悦子)
七年のすぎし今でも一ミリも亡き妻のこと忘れはしない
(埼玉 さいたま南法人 小山 瀧寛)
夏陽さけ青紅葉しげる木の下にしばしの間涼を楽しむ
(埼玉 越谷中央 渡辺 二郎)
大きさは不揃いながらじゃがいもの収穫多し夕餉に肉ジャガ
(埼玉 新郷 三村 陽亮)
夫を詠む古き短歌は短冊や色紙となりて筆語り継ぐ
(埼玉 吉川旭 岡田 芳江)
所沢ミューズホールで演奏会同じ舞台に娘らと立つ
(埼玉 所沢中央 森永 恵美)
母の日に和菓子のカードについでのごと「生んでくれてありがとう」と書く
(埼玉 領家 森田すみ江)
「歌ごもり」夫への短歌は高点歌コメント文に涙の溢れ
(埼玉 吉川旭 多田 桂子)
寺に眠る母と別れて十三年日暮らしの鳴く夏の夕暮れ
(埼玉 さいたま南法人 小滝 敏郎)
耳遠い夫へのスマホ吾が取りて友の連絡メモで伝える
(埼玉 忍 塚田 恵子)
母の日に脳の衰え防ぐため筆ペン貰い楽しみ増える
(埼玉 所沢中央 松本 君代)
九十路免許書き変えこれからも感謝を持ちて車と人に
(埼玉 前川 飯塚 毅)
調理器具かっぱ橋まで見に行って楽しみながらあれこれと買う
(埼玉 鶴ヶ島 築紫 恵理)
帰り際握手のぬくもり忘れられぬ高齢の姑(はは)の健康案ずる
(埼玉 所沢中央 伊藤ゆう子)
病院のカフェでソイラテ飲みながら夫の検査の長き時待つ
(埼玉 さいたま南法人 野並スミ子)
山火事の勢い落とす雨を待つ自然の力の恐ろしさ見る
(埼玉 領家 星野 正子)
新しきマグカップ買い気分変え眺めて飲んで華やぐ気分
(埼玉 深谷 佐藤 民子)
椿油母は大層気に入りて髪の手入れをせっせとしており
(埼玉 蓮田黒浜 髙橋 千代)
仕事持つ我の楽しみ連休はどっかと座り読書と書道
(埼玉 鶴ヶ島 藤沼みゆき)
今日無事に過ごしし事を感謝して日の区切りに仏壇の灯消す
(埼玉 戸塚 町田 町子)
彼方よりほととぎす鳴く那須の朝空気は格別深呼吸する
(埼玉 深谷 福井 幸子)
少しづつ聞こえづらいと感ずるも息子の声はしっかり届く
(埼玉 新郷 三村千代子)
浴場はすべるからとて手を取りて歩いてくれる娘やさしき
(埼玉 忍 竹内 蓉子)
デジタルが激しく進む世の波に乗れずに戸惑う八十半ば
(埼玉 領家 長嶺美代子)
白木蓮香り立ちつつ花びらはやわき風にとふわふわと散る
(埼玉 桶川東 金田美佐子)
若き日は物にあふれる日々送る施設の姉は箪笥が一つ
(埼玉 北与野 内藤 由香里)

選をおえて

梅雨も明け、本格的な夏の到来。「私の季節です!」と待っていたかのように、夜に咲き、香りをも楽しませ、朝に散る「サガリバナ」が。日昼の暑い日差しも物ともせず、鮮やかな黄色が花房をゆらし、道行く人を楽しませるゴールデンシャワー。その木の下は、砂漠の中のオアシスの様です。 今月も96名の方の歌と出会い、身近に感じ、生き抜く力を頂きました。作歌により絆も深まり、希望も湧きます。来月も一首一感動した愛し子達をお待ちしております。楽しみ~。