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9月 群蛍集(千葉) 上山康子 選

9月 群蛍集(千葉) 上山康子 選

孫の運動会

千葉 中沢 菊池留美子

小六の孫は最後の運動会ソーラン節で大旗を振る
小六の孫はリーダー勤め上げ運動会で感動ひとしお
小学校最後の運動会でお孫さんが活躍する姿に、作者の思いが伝わって来ます。頼もしく成長され、この先が楽しみですね。

祭り

千葉 東金 望月 操

老神の大蛇祭りに欠かせぬは体を打ち抜く太鼓の響き
見る人も太鼓の音にあおられて「よっしゃ」の声出る手拍子も出る
老神(おいがみ)温泉の祭りに行かれた時のことを詠まれたのでしょう。太鼓の響き、掛け声、手拍子と賑やかな様子が伝わって来ます。

サックスを吹く娘

千葉 袖ヶ浦 手塚 和子

サックスを吹き終え一礼する娘涙こらえて全力拍手
演奏会ソロでサックス吹く娘格好よくて見ほれてしまう
娘さんがソロでサックスを吹ききった姿は、親として緊張がほどけて拍手喝采だったことでしょう。娘さんに対する愛情が感じられます。

山紫陽花

千葉 流山 小原 碩子

山紫陽花咲く都度偲ぶ亡き友の根を分け呉し日ありあり浮かぶ
修業終え一足先に逝きし友語り会える日信じて待ちぬ
山紫陽花が咲き、かつて株分けしてくれた友人を偲んでいる作者。いつかあちらの世界で会えた時に、山紫陽花の話ができると良いですね。

中三の孫

千葉 大原 鶴岡 謙子

中三の女孫はテニスで優勝と久々明るいニュースの届く
「ありがとう」ひんぱんに言う孫杏里やさしい笑顔に夫と癒さる
暗いニュースが多い昨今、お孫さんの優勝の知らせは嬉しいですね。目の前のお孫さんをしっかり見て詠まれました。ぜひ、この短歌をお孫さんに見せてあげてください。

千葉 中沢 金子 英子

青青と早苗育ちて風わたる清し初夏(はつなつ)の里山の景
春うらら寒さに耐えて花盛り多肉植物いのち満開
稲が伸び、爽やかな風が吹く季節の一瞬を詠まれ、情景が見えるようです。作者の眼差しが優しく、2首目の結句「いのち満開」の表現が素敵です。

地球

千葉 郡本 比留川多賀子

国難に対し首相の面立ちは毅然となして画面に映る
宇宙より見れば丸いはずなのに戦禍の炎あちこちに燃ゆ
世界中の多くの人は戦争をしたくないはずなのに、相変わらず地球のどこかで戦禍の炎があがっている現実。大きな視点で詠まれました。

短歌

大賀蓮辺り一面葉を広げ緑風になびき泥池覆う
(千葉 千葉法人 佐久間秀一)
種を蒔きならした土は猫達のお誂えむきの遊び場となる
(千葉 松戸根本 友野 文男)
六月に台風が来て梅落ちぬ若稲の育つ季節の異変
(千葉 千葉法人 平方 雅子)
若者はすっと席立ち笑みくれる船橋までのここち良き時間
(千葉 千代田 伊藤 秋子)
夫と行く甲斐の山々朝日うけ若葉の競演音無き賑わい
(千葉 東金 佐藤 昭子)
そよ風と夫との散歩浮きたちて柿若葉には光りのあそぶ
(千葉 真間 北奥永倫子)
早朝にゴミを拾いて散歩する地域の為にと些細な行動
(千葉 大原 實方 紀子)
受診後にうぐいすの声聞こえくる夫と足止めしばし聞きいる
(千葉 郡本 池田 澄枝)
あと幾度見られることかこの桜一分咲きでも感謝し愛でる
(千葉 君津市法人 山口 庸一)
図書館で借りて読む本近頃は読んで忘れて又借りて読む
(千葉 やわた 大和久みどり)
初めてのお使いをする孫五歳ママは陰からそっと応援
(千葉 郡本 伊藤 幸江)
石乃湯は今でも薪で沸かす風呂昔ながらのスタイル崩さず
(千葉 やわた 罍 美恵子)
カラオケを二人で歌う楽しさは生きる為には大切なこと
(千葉 千葉南 堀部 久枝)
孫は言う「孝明さんの運転はいつもやさしいパパママこわい」
(千葉 郡本 清水 孝明)
子供の日宿題持って孫来たる号泣しても鉛筆握る
(千葉 松戸根本 中山 拓朗)
ロープウェー周りは靄に包まれて空中散歩するかのごとし
(千葉 千葉南 水田恵美子)
幼き日いつも弟おんぶした元気になれと祈るばかりに
(千葉 真間 島 滿子)
新緑の園に花々咲き競いバラの大輪の芳香に酔う
(千葉 北条 関口てる子)
ハイビスカス昨年秋の挿し木の芽見事に生長真赤な花咲く
(千葉 やわた 田中美知子)
手際よく畑の片づけ黙々と娘の動き頼もしきなり
(千葉 東金 久我 房子)
剪定を終えて生垣眺め入る汗ばむ日差しの中に佇み
(千葉 袖ヶ浦 苅込 重行)
これからも己の為に生きていく手足動かし頭使って
(千葉 やわた 大川 法子)

選をおえて

この選評は、デジタル配信で読まれていることと思います。今までの紙の『しきなみ』誌が電子版となり、縦書きが横書きとなり、戸惑われている方も多いのではないでしょうか。ですが、最初は違和感があったとしても、次第に慣れてくるものです。『作歌の書』の「歌境の出発」に次のようにあります。「はじめは見る(聞く)ことからである。とにかく見る。たびたび見ておると、はじめ変だったものが、次第によくなる。嫌だったものが好きになってくる」。歌を学んでいる私たちです。起こることすべてをしっかり見つめ、受け入れていきましょう。