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9月 群蛍集(大分・宮崎) 知念和美 選

9月 群蛍集(大分・宮崎) 知念和美 選

大分 鶴望 管 久美子

入院の夫に聞かせるウグイスの鳴き声さやかスマホに録音
面会を待つ夫思い自転車で息もたえだえ坂道のぼる
ご主人への想いが伝わります。ウグイスの声、一緒に聞きたくて録音されました。又、早く会いたいと坂道も必死。早く退院できるといいですね。

大分 大分中央 村山 松子

面会を部屋で許され姑の施設の暮らし直(じか)に伝わる
四年余(ま)り家族と離れ慣らされて施設の姑穏やかになる
4年の歳月がお姑さんの生活リズムを作りあげ、今は穏やかな暮らしぶりに安堵されました。施設入所は、本人もご家族も葛藤がありますよね。

台風

大分 岩屋 黒枝知恵美

プチトマト台風が来て倒れても実は落とさずに強く生きぬく
台風でじゃがいもの葉にしがみつくてんとう虫は必死で生きる
生命力の歌です。倒れても実を離さず守りました。小さなてんとう虫も強い風の中、葉にしっかりつかまって生きている。諦めないを教えていますね。

欠詠

大分 大分中央 佐藤 明照

今月は欠詠すると妻に言う「それは駄目よ」とつれない返事
面会に妻と娘が来た時は歩行リハビリほめらるるなり
ご家族の温かさに満たされているご様子。「つれない返事」にやっぱりと素直に。大変なリハビリも褒めてもらうと頑張れますね。

歌ごもり

大分 滝尾 松尾 るみ

最高のスタッフ達と歌ごもり作り上げゆく月日の尊し
百余り歌と動機と好評は次から次へと時進みゆく
倫理運動創始80周年を記念し、各地で歌ごもりが開催されています。歌ごもりに取り組む姿、たくさんの短歌との出会い、作者も改めて短歌の良さをしみじみと感じられたことでしょう。

豊後土工(ぶんごどっこ)

大分 鶴望 小野 桂子

その昔豊後土工(ぶんごどっこ)と呼ばれたる祖父を語るや母誇らしげに
黒部ダム関門トンネルも作りたる豊後土工(ぶんごどっこ)の祖父偉大なり
素晴らしい働きをされたおじい様。一族の誇りですね。ダムやトンネルが形として残っています。汗水流したおじい様を感じられたらいいですね。

短歌

大釜に香る新茶バチバチと熱々を揉んだ母との思いで
(大分 臼杵中央区 亀井 清子)
誕生会お洒落な服でピースする満面の笑み遺影の義兄よ
(大分 横瀬 須貝トヨ子)
「行って来ます」「帰りの時間知らせろよ」さり気ない夫今も昔も
(宮崎 延岡北 林田 節代)
満開の桜を濡らす雨音に蛙(かわず)の声の重る昼どき
(大分 ふじが丘 大出 妙子)
何もかも一度にしようとする我に無理をするなと夫の口癖
(大分 ふじが丘 小野 悦子)
沢山の人と歌との出会いあり楽しく学べた歌ごもりかな
(大分 臼杵中央区 三重野あつ子)
一言目「病院食が少ない」といつもの父に安堵した夜
(大分 諏訪 濱田 裕美)
英国の考古学会で大昔の巨大噴火を解き明かす吾子
(宮崎 志比田 桒畑 洋子)
八年の歳月流れ孫克行努力の甲斐有り世界に羽ばたく
(大分 鶴望 神田 暎子)
膝手術次男のショートステイ先協力を得て三週間余(よ)
(大分 亀川 遠藤由紀子)
ポジティブなあなたのお陰で今がある短歌に運動老いの日楽し
(大分 東大分 河野千津子)
話しベタあれこれ悩みたどり着く一番大事は心のありかと
(大分 東大分 大森 佳代)
混乱の戦後に育ち良き時代老いて迎ゆる平和な日々よ
(大分 東大分 幸野 良子)
さっそうと巣箱を飛び立つ蜜蜂を感謝で見送る親心増す
(宮崎 志比田 富山 耕一)
ぬいた草おきっぱなしのその下にだんご虫群れすばらしき宿
(大分 亀川 柴田 好美)
山肌を清かに彩る五月晴れ己が心もかくやありたし
(大分 鶴望 大鶴イチ枝)
毎日が母の日の吾夫逝きて気づかいくれる息子の嬉し
(宮崎 延岡北 戸田 育子)
ナス用に連作さけし休耕地お待たせしたと草の根拾う
(大分 鶴望 浅倉カヨ子)

選をおえて

3度目の短歌講師の更新合格を頂き、長い歳月を振り返りました。母の介護をしながら泣いたり、笑ったり、悩んだりの添削。又、母や姑、夫を見送り、その都度立ち直れたのは、短歌のお陰。投稿できないような心の内の短歌を詠みながら、前に進めました。短歌には不思議な力が宿っています。沖縄県の歌ごもりは、132名。お一人お一人が輝いていて、生涯学習と確信しました。多くの方に短歌の良さを伝えて行きましょう。