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鹿児島 東谷山 野間口信子
若い頃指折り待った母の日も九十過ぎて忘れてました
人生も九十過ぎたら何のその気楽な暮らし我がまま気まま
評
何よりも、2首目の「九十過ぎたら何のその」に惹かれました。「開き直る」でもなく、「力強さ」というほどでもなく、しなやかな感じでしょうか。そして、明るいのです。忘れもの
鹿児島 龍郷 川内 尚枝
野菜室奥のおくから玉ネギが青い芽を出し吾をにらみおり
野菜室買いだめするも忘れおり萎びた牛蒡レシピ思案す
評
忘れていた玉ネギや牛蒡に気付いた作者は、申し訳ない、何とか生かすことはできないかと考えたのだと思います。わかります、その気持ち。孫のホームステイ
鹿児島 郡元 川村 惠子
中一の女孫は初のホームステイ胸を躍らせスリランカへ発つ
ステイ先の清貧な暮しに胸うたれ再会約し帰国したと孫
評
お孫さんのスリランカでのホームステイ。その貴重な経験を聞いた作者もまた、胸をうたれているようです。ミシン
鹿児島 田崎 竹川 清子
ワクワクしてミシン踏んでた若い頃ビッグシャツは今もお気に入り
デニム地で仕上げたジーパン三本ありミシン踏んでた遠きあの日
評
若い頃縫ったシャツやジーパン。今も手元にあるそれらを見ていると、楽しかった、そして、一所懸命だったあの頃が蘇ってきたのでしょう。すてきな思い出です。姉
鹿児島 帖佐 川原 隆子
八十五歳母に似てくる姉ありて米寿目ざして進もう前へ
小さき頃厳しかったね姉ちゃんはそれが今では愛しの姉へ
評
「母に似てくる姉」「小さき頃厳しかったね姉ちゃんは」、さらに「今では愛しの姉」と、お姉様への思いがあふれていますね。すてきな姉妹です。ホトトギス
鹿児島 田崎 前屋敷豊子
聞きなしのトッキョキョカキョク耳にする夏を感ずるホトトギスの声
ホトトギス数多の和歌にも詠まれたとう特性・謂(い)われ調べて楽しむ
評
ホトトギスは特徴的な鳴き声から、昔から多くの和歌の題材に取り上げられています。「調べて楽しむ」というところが良いと思いました。短歌を勉強したからこそと思います。初夏
鹿児島 鹿屋寿 岩村百合子
梅雨間近らっきょう漬ける頃となり今年も作る父の好物
新築に父植えくれしケラマツツジ鮮やかな赤燃えるよに咲く
評
らっきょう漬けやケラマツツジが作者とお父様をつなげてくれているようです。逆に、親子のつながりがそこに表れているとも言えますね。サボテンとあじさい
鹿児島 長里 末永 悦
サボテンはトゲに似合わずやわらかく黄色い花を次つぎ咲かす
雨の降る庭をながめて短歌よむあじさいの花紫あざやか
評
「サボテン」と「あじさい」をよく見て詠みました。私の目の前にも見えてくるように思いました。短歌
中東のホルムズ海峡閉鎖にて吾の商売おびやかすナフサ
(鹿児島 鹿屋寿 川畑千賀子)
(鹿児島 鹿屋寿 川畑千賀子)
目覚めたる熊は里に来人襲い人に追われて人に駆除さる
(鹿児島 郡元 藤本 弘子)
(鹿児島 郡元 藤本 弘子)
ブーブーと庭を横ぎるイノシシは二匹ならんで会話するかに
(鹿児島 田崎 濵田 明美)
(鹿児島 田崎 濵田 明美)
ランドセルゆらして走り帰り来る友達出来たと笑顔の男孫
(鹿児島 田崎 長谷川絹子)
(鹿児島 田崎 長谷川絹子)
就活で一喜一憂する吾子よ案ずるよりも笑顔で前へ
(鹿児島 帖佐 西田小百合)
(鹿児島 帖佐 西田小百合)
「思いやり」父から学び母からは「人との出会い大切にして」と
(鹿児島 帖佐 泉 裕子)
(鹿児島 帖佐 泉 裕子)
幼き日父母の留守の夜(よ)はことさらに寂しさ募りしふくろうの声
(鹿児島 龍郷 山下テルヨ)
(鹿児島 龍郷 山下テルヨ)
亡き夫へ「女孫のセーター編みながら幸せです」とほほえみ語る
(鹿児島 田崎 橋本 節子)
(鹿児島 田崎 橋本 節子)
亡き夫は子供らと囲碁で遊んでいた賑やかな声楽しいひととき
(鹿児島 長里 柳元 和子)
(鹿児島 長里 柳元 和子)
一年で十五センチも背が伸びて我を見下ろす中二の息子
(鹿児島 西伊敷 平田 弓子)
(鹿児島 西伊敷 平田 弓子)
西日さす茶の間で夫と世間話程よい甘さのアイスコーヒー
(鹿児島 湯之里 堀之内マリ子)
(鹿児島 湯之里 堀之内マリ子)
頭からポキンと折って皮を剥くツワブキ処理ののんびり時間
(鹿児島 川内 窪薗いそ子)
(鹿児島 川内 窪薗いそ子)
「母の日」のひまわりの花飼い猫に花ビラきれいに食べられちゃった
(鹿児島 川内 濱屋 久美)
(鹿児島 川内 濱屋 久美)
ひとり居の齢(よわい)重ねて喜びも病も共に八十七歳
(鹿児島 田崎 黒葛レイ子)
(鹿児島 田崎 黒葛レイ子)
野良仕事いまだ初心者の吾なれば先輩農家ゆ野菜の届く
(鹿児島 真方 河野紀代子)
(鹿児島 真方 河野紀代子)
母ちゃんのマカロニサラダペロリ食う年に一度の誕生日だから
(鹿児島 郡元 塩満美代子)
(鹿児島 郡元 塩満美代子)
落ち込みし我を案じて会うたびに無言でハグする歌友ひとり
(鹿児島 小松原 上國料紘子)
(鹿児島 小松原 上國料紘子)
大正琴仕事の合間に弾いていた真剣な目の亡き母の姿
(鹿児島 真方 川村久美子)
(鹿児島 真方 川村久美子)
夫思い花ながむれば笑顔見ゆ二人で見たい満開のばらを
(鹿児島 東谷山 濱﨑美基子)
(鹿児島 東谷山 濱﨑美基子)
カラフルなリボンひらひら夏帽子派手なれどうれし嫁のプレゼント
(鹿児島 鹿屋寿 久木田トミ子)
(鹿児島 鹿屋寿 久木田トミ子)
池田湖は市民四万の水瓶なり命を守る指宿のほこり
(鹿児島 湯之里 坂元エイ子)
(鹿児島 湯之里 坂元エイ子)
年重(かさ)ね作業苦しき二人でも力合わせて草取り半日
(鹿児島 郡元 橘 悦子)
(鹿児島 郡元 橘 悦子)
梅雨前の町内会の道普請十時のお茶はよもぎ大福
(鹿児島 小松原 柿元 一雄)
(鹿児島 小松原 柿元 一雄)
五月晴れ新緑の木々空に向かい吸い込まれるよに枝葉をのばす
(鹿児島 長里 荻 朝子)
(鹿児島 長里 荻 朝子)
真白なヒラドツツジのみごとさは夕暮れ時にさらに際立つ
(鹿児島 小松原 福山 友子)
(鹿児島 小松原 福山 友子)
歯の悪い友に好物のきんぴらを細く短く切りて作りぬ
(鹿児島 田崎 白石 弘子)
(鹿児島 田崎 白石 弘子)
選をおえて
このごろ気になっていることのひとつに、「衣偏」「示偏」があります。衣偏は衣服、布、身を包むことに関連する漢字(袖・袂・被など)の部首。示偏は神仏、祭祀、祈りなどに関わる漢字(神・社・祝など)に使われます。点の数がひとつちがうだけで、それぞれ意味があるのです。6席の前屋敷豊子さんのように、私もいろいろと調べて楽しみたいと思います。来月も楽しみにお待ちしています。