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9月 群蛍集(沖縄) 甲斐靖幸 選

9月 群蛍集(沖縄) 甲斐靖幸 選

成長

沖縄 具志川 國場 広美

不登校乗りこえ吾子は支援クラス笑顔で手を振り吾を見送る
不登校乗りこえ吾子は食も増し細き身体が大きくなりて
本当に良かったです。きっと作者の実践が実ったのでしょう。お子さんにとっても、この経験が今後の人生にきっと役立つことと思います。

しきなみ創設八十年

沖縄 石川 金城 周子

しきなみの八十年の祝賀なれば百三十二の歌朗々と
歌ごもり余韻残りたる会場に感謝の一礼肩の力抜く
今回の歌ごもりに、運営側として携われたのでしょうか。一層学び深き、感慨無量の歌ごもりになったことと思います。

亡母の思い出

沖縄 浅野浦 宮里 直子

亡き母の芋掘る姿思い出す若かりし頃のたくましき姿
おおらかで笑い上戸な亡母の面亡父いてこその笑顔なりしか
2首目、きっとそうだったと思います。2首とも、亡きお母さんをしみじみと思い起こしている様子が伝わって来ます。お母さんもきっと喜ばれていることでしょう。

義弟よ

沖縄 平良 砂川 節子

義弟は番狂わせに先に逝く妹の心中慮(おもんばか)りぬ
義弟の四十九忌に大雨(ひさめ)ふる健気に振う妹の涙(なだ)かも
ご主人を亡くされた妹さんを思い遣られている2首です。「大雨」、「涙」のルビも有効で、よくご存じです。

台風の思い出

沖縄 諸見里 仲本 亮子

台風時母が作った天ぷらを弟達と競って食べた
台風時停電の中秘密基地作って遊んだ弟達と
お元気なお子さんだったのですね。きっと弟さん達にとっては、幼い頃から頼りになるお姉さんだったことでしょう。

セマルハコ亀

沖縄 登野城 石垣 治

狭き庭セマルハコガメ住みつきて足音聞きて首をのばして
首長く餌をねだるかのそのそと玄関先までついてくる亀
魅力的な模様のセマルハコガメが庭に住みついて、玄関先までついてくるなんて可愛いですね。亀は長生きですので、いつまでも可愛がってあげてください。

歌ごもり

沖縄 久茂地 慶田 京美

勇壮な『国頭(くんじゃん)サバクイ』の余興あり琉球の歴史伝えし「歌ごもり」
辛い時『愛燦燦』を口ずさむ心と身体に勇気湧き出る
1首目、『国頭サバクイ』は琉球の当時の人々の有様がよく表れていて、歌ごもりの品格を高めたことでしょう。2首目、『愛燦燦』は、美空ひばりの代表曲の一つで、こういう曲があるのは有難いことですね。

歌ごもり

沖縄 西川 新垣 準子

満喫す一泊二日の歌ごもり気持奮い立つ皆の短歌に
朗詠の腹の底からの歌声に耳そばだてて聴き惚れるなり
1首目、各人の感動を大勢で共有できるのが、歌ごもりの醍醐味の一つですね。2首目、どなたが朗詠されたのでしょうか。歌ごもりに参加しての感動冷めやらぬ様子の伝わって来る2首です。

短歌

風呂場にて足を滑らせ仰向けに金ブンのごと手足バタつく
(沖縄 諸見里 日高 二香)
苦難また幸福の門というならばそうしてみせようそう覚悟せり
(沖縄 普天間 中村ヨリ子)
ゆれる戸を皆で掴み台風の過ぎるを待ちし幼少の頃
(沖縄 屋宜原 田本 冴子)
波静かモノクロの海をゆっくりと巡回するかに月渡りゆく
(沖縄 平良 下地 吉子)
ベランダでエサを咥えた鵯は我に自慢かしばしとどまる
(沖縄 鳥堀 田中きよ子)
思い出が心に浮かぶ母の日はアルバムめくり母を偲ばん
(沖縄 具志川 具志堅美智子)
連れ添って六十二年沢山の幸せくれた夫に感謝状
(沖縄 下地 野原トヨ子)
思い出を夫と語りて娘らに聞かせておりぬ結婚記念日
(沖縄 久茂地 山内 京子)
男(お)の子等は円陣くみつつ海中(わたなか)で互いを投げあい喚声あげる
(沖縄 下地 宮国 トミ)
潮引きて「ヒメマツミドリイシ」珊瑚が群生なして現れてきた
(沖縄 平良 砂川美恵子)
サンニンの花が咲くのは梅雨の頃頭をたれて散らずにたえる
(沖縄 西川 新城 安子)
朝寝する孫を起こして学校へ閻魔様だぞ今朝のじいちゃんは
(沖縄 鳥堀 東風平朝敏)
孫たちの日々の個性をおもしろく語る嫁あり笑いに包まる
(沖縄 与那原 津波古春美)
仕事から帰って直ぐに娘子は体力作りとランニングに出る
(沖縄 大道 安里みどり)
「もう二度と戦は嫌だ」と年老いた男性語る孤児の辛さを
(沖縄 普天間 當山千賀子)
毎日を悔いなく動く主婦業にほうびのアイス一人楽しむ
(沖縄 読谷 与儀 常子)
友からのセントポーリア大切にひと鉢ずつを増やしゆく日々
(沖縄 根差部 東恩納久美子)
歌ごもり真心こめて詠みおりし作歌の動機に学び深める
(沖縄 真喜良 石垣ミツエ)
五月には皆が協力色塗りを食堂で泳ぐ鯉のぼり達
(沖縄 久茂地 伊野波和子)
公園の中年夫婦手を取りて散歩する様心の和む
(沖縄 城東 照屋喜和子)
年共に指の力の衰えて菓子袋すら開(あ)け難(がた)くなり
(沖縄 真玉橋 来間 恵子)
しかられて多くの人の愛を受け今ある我は何と幸福
(沖縄 石嶺 中山 啓子)
ようやくに数多の機能馴じみたる新車ロッキーよき伴走者
(沖縄 諸見里 新垣 幸枝)
歌ごもりの「実践報告」にかけし思い前に進める力にしたい
(沖縄 大道 宮城 恵子)
エイサーを村の青年待ちわびて再会広場に笑い渦巻く
(沖縄 読谷 真栄田 実)
姉弟(きょうだい)で母の遺産を相続す欲を抑えて争い避ける
(沖縄 諸見里 町田 宗光)
祭祀する芝生の手入れ怠ず精魂込めて今日も芝刈る
(沖縄 泡瀬 比嘉富美男)
台風が「来るぞ」と夫は実をつけたパパイアの木を固定頼もし
(沖縄 読谷 喜納 玉子)

選をおえて

今回は、歌ごもりについての短歌が多く見られ、成功の様子が伝わって来ました。歌ごもりは、参加された方はよくご存知の通り、短歌の学びとむすびと、間違いなく感動の2日間を過ごすことのできる素晴らしい行事です。今回参加されなかった方は、次回は是非参加されることをお勧めします。またスタッフの方々、早くから周到にご準備いただき、誠にありがとうございました。