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9月 飛雲集(東東京) 富山明美 選

9月 飛雲集(東東京) 富山明美 選

どくだみ

東京 湯島法人 田代 昌代

どくだみの花でチンキを作る友吾も見習い花を摘む午後
竹秋翁のどくだみ愛す歌読みてそのまなざしに優しさ教わる
古くから薬草として重宝されるどくだみです。殺菌・抗菌効果もあり、チンキにして虫除け・かゆみ止めにする人もいます。竹秋翁も愛されたどくだみをもっと活用したいですね。

三年ものの金魚

東京 深川 安田 由観

凝り性の息子の部屋は秘密基地三年かけて水族館めく
きっかけは金魚すくったあの夏かすくすく育ち大きさ三倍
夏祭りの金魚すくいの金魚でしょうか。金魚のための環境を整え、3年で3倍の大きさに育てた息子さんの根気と優しさに感心しました。それを見守る作者も優しいですね。

夕どきの歌

東京 今井 岩倉佐波吏

リフレイン「ママ頑張って」自転車の後ろに乗りたる子は独唱す
森の中恋の季節かカラスらは優しい声で鳴き交わしたり
「ママ頑張って」の声援に自転車を漕ぐ足にも力が湧いてきますね。2首目、カラスの恋の季節の鳴き交わす声を作者は優しい声と受け止めておられるようです。

三社祭

東京 湯島法人 福田 祐子

紋を背に粋を纏いて立つ男三社の神輿天を揺るがす
掛け声に揺れる法被の波しぶき男の意地が神輿を上げる
勇壮な三社祭の様子が伝わってくるようです。いなせな男衆の祭と聞いています。テレビで見たことはありますが、目の当たりにすると、とても激しいのでしょうね。

松江城

東京 中央区法人 鈴木 啓子

松江城の急な階段よじ登る天守閣に風吹き抜ける
松江城明治の危機を乗り越えて存続守った郷里の人々
お城の階段は、何処も急で登るのは大変ですね。明治維新の激動期や太平洋戦争でも消失を免れて現存しているお城は少ないです。郷土の誇りだと思います。

短歌

旅先で夫婦並んでヨガすれば心のしこりがしばし溶けゆく
(東京 湯島法人 尾下 里佳)
国技館砂かぶり席で観戦すぶつかる力士迫力凄し
(東京 中央区法人 永禮 慎一)
隣人の老老介護に和む吾「大変だけど楽しい」と言う
(東京 立石 平賀 里美)
風そよぐ青葉の道をどこまでも歩いていたい深呼吸して
(東京 扇橋 及川 陽子)
久久に歩きに歩く土手の道まだまだ動ける一万歩越え
(東京 立石 中村 正和)
空高く春の陽あびて無花果の新芽と枝葉どこまで伸びる
(東京 立石 伊東悠美子)
歌ごもり作歌の動機述べたるも時間オーバー大恥をかく
(東京 末広 川端 勝)
早朝の澄んだ空気の森歩く姿見えずもうぐいすさえずる
(東京 小岩 逆井 君子)
走馬灯回る数だけ思い出が瞬間画像で脳裏に映る
(東京 今井 須賀 妙子)
銭湯の煙突撤去我が町のひとつのじだいのシンボルきえる
(東京 梅島 竹内 肇)
雨降りて芽吹く若葉に野の花に恵みの雨の喜び満ちる
(東京 東砂 石井 睦子)
五月末梅雨より先に夏到来ボトルに水や麦茶を満たす
(東京 綾瀬 佐藤 昌宏)
枯れ木から緑の枝が伸びている空に向かいて命が芽吹く
(東京 東京高砂 鈴木 信行)
ああ今日も何事もなく終ったと冷えたビールは苦く淋しく
(東京 綾瀬 古屋 利正)
母の日は花屋に満ちるカーネーション並ぶ子供の背中愛らしい
(東京 水元 秋山 友美)

選をおえて

今月は多くの方が飛雲集に昇格されました。昇格おめでとうございます。皆様の短歌を読ませていただく時、具体的にその様子が思い浮かぶような、また共感できるような短歌に惹かれます。今月は、誤字・脱字・略字がなく、楽しく選をさせて頂きました。推敲の大切さを改めて感じています。