茶摘み
熊本 古閑中 藤永 和広
五月晴れ初夏の茶摘みはお隣りと会話の弾み心は和む
柔らかな新芽の手触り心地良く初夏の茶摘みに時を忘れる
評
1首目、爽やかな5月晴れの中、お隣りの茶摘みの方との会話も弾みます。2首目も素晴らしい。新芽の手触りと葉の香りが伝わってくる詠いぶりです。合格発表
熊本 水前寺 増田はるみ
スマホ手に食いいる眼(まなこ)で見る孫に声かけられぬ合格発表
スマホからニッコリ顔を上げる孫合格祝う周りの拍手
評
最近の合格発表はスマホを通してなのですね。食いいる眼で見つめているお孫さんの様子を見つめている作者です。2首目、良かったですね。おめでとうございます。父の介護
熊本 菊水 藤田 由佳
やるせなさグッと飲み込み深呼吸笑顔に変えて父を介護す
すやすやと眠った父に「ごめんね」と体をさすり布団を掛ける
評
元気だった頃のお父様を想うとやるせない想いです。でも、笑顔で介護している作者です。2首目の「ごめんね」はどんな想いからでしょうか。すやすやと眠ったお父様を見守る作者にやさしさを感じます。BTSコンサート
熊本 北の丸 松田 啓子
娘との夢見心地の二日間七十七歳でのBTSコンサート
ふわふわと今だに続くこの想い夢見心地のBTSコンサート
評
77歳、BTSのコンサートに参加して、夢見心地の作者。2首目も良いですね。若さを保つ秘決でしょうか。晴よし・雨よし
佐賀 与賀町 横井 正輝
青空の三日続かぬ空模様晴れるか雨か天の配剤
堀端の木々の緑の雨に濡れ滴り落ちる雨も又よし
評
2首共に、自然をそのまま受け入れている作者に感動いたしました。2首共に結句が素晴らしいです。母と姉
佐賀 与賀町 副島佐代子
晩春に眠りたいけど眠れない母の看護と家の仕事で
何回も電話をかけて安心す姉はほんとに心の病
評
お母様の介護とお家の仕事、眠りたくともなかなかその時間をとることができません。心の病いを抱えたお姉様も、何度も電話をかけてきます。どうぞご自愛なさってください。○
熊本 菊水 宮村 亜紀
親が子を子が親を殺めるご時世は紙切れのような命の軽さ
大切な人の命と札束を量りにかけたらどちらが重いか
評
昨今のニュースは、心を痛める内容が多くあります。作者はそんな時世にもっと考えてと投げかけています。同感です。短歌
一人身の八十路迎えしも夢多く楽しきことを追い求めつつ
(熊本 北の丸 元島 淳子)
(熊本 北の丸 元島 淳子)
早朝に花摘みながら散歩する穏やかな心取り戻す時
(長崎 長崎 浅田奈々美)
(長崎 長崎 浅田奈々美)
柿若葉やわらかき葉のみずみずし春風そよぐ雨上がる朝
(熊本 楠 井添二三惠)
(熊本 楠 井添二三惠)
今年またヤモリ現る居間の窓エサとる姿に夏が来たなと
(熊本 菊水 前田 清文)
(熊本 菊水 前田 清文)
新緑に心はずんで深呼吸光のみこみ背筋をのばす
(熊本 合志 江﨑 貞利)
(熊本 合志 江﨑 貞利)
週末ごと帰省する吾子会うたびに凛々しく変化大人の顔に
(熊本 菊水 山名 弘恵)
(熊本 菊水 山名 弘恵)
かわいいねそれでもごめん抜いちゃうよ芝生の中じゃ雑草なのよ
(熊本 菊水 冨士田節子)
(熊本 菊水 冨士田節子)
早朝の御堂に響くお念仏亡き子想いて無心に唱う
(熊本 平井 鍋倉 恵子)
(熊本 平井 鍋倉 恵子)
孫からの希望高校「受かったよ」はずんだ声に胸なでおろす
(熊本 平井 熊谷三枝子)
(熊本 平井 熊谷三枝子)
雨風に耐える家をと願いつつ持ち金はたいた亡夫に感謝す
(熊本 瓦屋 瀬戸 君子)
(熊本 瓦屋 瀬戸 君子)
柔らかな母のぬくもり胸にあり早や三年かもう三回忌
(熊本 水前寺 福山由里香)
(熊本 水前寺 福山由里香)
母の日に母の希望は墓参りカーネーションは先祖に飾る
(熊本 合志 新居 真澄)
(熊本 合志 新居 真澄)
インスタやフェイスブックですぐ会えるブラジルの友身近かに感ず
(熊本 水前寺 大塚 雄子)
(熊本 水前寺 大塚 雄子)
「しきなみ」の歌ごもりにて出会えたる友の吟詠心に沁みる
(佐賀 小城 岡本 邦子)
(佐賀 小城 岡本 邦子)
水田は大きな鏡映しだす逆さ涅槃像みごとにあらわる
(熊本 菊池 山下 恵子)
(熊本 菊池 山下 恵子)
大家族長男の嫁役わりを終えて老後は一人となりぬ
(熊本 菊池 垂水 明美)
(熊本 菊池 垂水 明美)
ふるさとのみかん畑は荒れはてて祖父の墓前にただおわびする
(熊本 菊池 菊池 仁美)
(熊本 菊池 菊池 仁美)
夫と登るくじゅう連山山小屋で疲れ癒やすは源泉温泉
(熊本 あさぎり 金森 淳子)
(熊本 あさぎり 金森 淳子)
この痛み帯状疱疹罹患して頭の髄まで爆発しそう
(佐賀 与賀町 行徳 幸子)
(佐賀 与賀町 行徳 幸子)
春の田に少なくなりたるレンゲ草幼なき頃が今も懐かし
(長崎 川棚 野澤 初代)
(長崎 川棚 野澤 初代)
眼鏡かけ眼鏡を捜す吾の姿見て可笑しくもありしっかりせよと
(熊本 瓦屋 岩﨑 俊一)
(熊本 瓦屋 岩﨑 俊一)
何十年たって役立つ木々達よ志半ば無念の灰に
(熊本 あさぎり 緒方登代子)
(熊本 あさぎり 緒方登代子)
搬送され天草の姉は高血糖数値七〇〇回復祈る
(熊本 楠 三宅 昭子)
(熊本 楠 三宅 昭子)
孫たちとワクワク楽しむ動物園人の多さにトラも見られず
(熊本 出仲間 中川喜代美)
(熊本 出仲間 中川喜代美)
選をおえて
今月は、76名の方のお歌を鑑賞させていただきました。どの歌も作者の想いがしっかり詠まれ、良いお歌ばかりで選をすることのむずかしさを感じつつ、選歌させていただきました。逆さ涅槃像のお歌に、子供の頃見た阿蘇山の見事な五岳を思い出しております。 来月はどんなお歌に出会えるか楽しみにしています。