生きること
栃木 那須野ヶ原法人 髙橋 完
すやすやと眠る妻見て「ホッ」とする介護の疲れなんくるないさ
「きっとまた元気になれる頑張ろう」妻を励まし手を取り散歩
評
「なんくるないさ」は沖縄の方言で、「まくとそうけぇ なんくるないさ」と使います。「誠実に正しい努力を重ねていれば、自然とあるべきようになる」という意味です。作者の姿が、まさにその通りだと感じます。心に響く素晴らしい短歌です。○
群馬 高崎中央 鈴木 幸見
「大丈夫」父の口癖蘇るライラックの花ほのかに香る
山吹きの花の咲く頃他界した父のエールが心に響く
評
お父様のエールが、心の支えになって作者を見守っていますね。親の愛は深いですね。○
群馬 高崎中央 山中記久乃
「リンコム」のアプリ登録完了す我の脳にもデジタル化の波
リハビリで夫は草津の湯治場へ硫黄の匂いまとい帰宅す
評
1首目の下の句に共感しました。お互いデジタル化を楽しんで進んでいきましょうね。2首目の下の句の表現は個性的で素晴らしい。母
茨城 田彦 上野 栄子
働いて働いた母気丈にもまんのう振り上げ田んぼ耕やし
出稼ぎの若者達の助けあり気丈な母は農一筋に
評
元気な働き者のお母様、喜働をなさっていて尊敬します。気丈なお母様の短歌をこれからも詠んでください。素晴らしいです。連休
新潟 表町 池上 洋子
連休は家業かき入れ子や孫が手伝い兼ねて帰省にぎわう
子や孫と過ごす連休出費大(だい)まさる喜びあと何回か
評
連休が楽しみですね。子どもや孫が帰省して、家業を手伝ってくれる、家業もはかどりますね。出費以上の喜びをもらえます。そして、絆も深まります。淋しき日々
新潟 表町 笹崎アイ子
羽ばたきて行きたや海の見ゆる町折れし左手じっと見つめる
着替えさえ一人で出来ぬ日々なれば明日(あした)こそはとセーターながめん
評
左手の骨折で、生活は不自由ですね。淋しい気持ちを短歌に詠まれ、明るい気持ちになられた2首目の短歌ですね。頑張ってください。義母と桜を見る
新潟 燕 佐藤 貞子
念願の桜満開義母と見る「また来年も」と約束交わす
ひらひらと舞い散る桜「雪みたい」認知病む義母手のひらかざす
評
念願であった桜見をお義母さんと一緒に見れて幸せですね。来年もぜひ見てください。山菜
新潟 燕 川﨑 吉正
山菜のすそわけ受けた「こしあぶら」食べ方調べはスマホが頼り
山歩き山菜取りはなれたもの妹夫婦はスマホが講師
評
スマホで検索すれば、すぐに教えてくれ、便利になりました。有り難い文明の利器です。一冊の本
岩手 花巻 佐々木京子
一冊の本が結んだ人と人岩手と石垣交流の旅
一冊の奇跡の本に導かれ波紋となりて広がる人の輪
評
一冊の本とは、どんな本でしょうか? 興味をそそられます。一冊の本の力を感ずる短歌です。本の持つ力の強さですね。田植え前
宮城 大崎 尾崎 育子
代掻きし田んぼの水面(みなも)風に揺れ日差しを受けて眩しく光る
代掻きに潤う田んぼ見渡せば苗の植えつけ良き日待つのみ
評
代掻きされた田んぼの様子をじっと見つめて詠まれました。良き日待つのみの結句に惹かれました。田んぼに対する愛情があふれていますね。短歌
妻の目が鋭く光る二杯目のウィスキー注(つ)ぐグラス見つめて
(岩手 盛岡 浦邊 信賢)
(岩手 盛岡 浦邊 信賢)
日本酒を適量決めて晩酌も妻の居ぬ間にあと一杯呑む
(栃木 那須野ヶ原法人 室井 操)
(栃木 那須野ヶ原法人 室井 操)
カザグルマ朝日差し込む林縁に妖精の如くひっそりと咲く
(茨城 西原 小林 和子)
(茨城 西原 小林 和子)
新米のパパママ二人しっかりと嬰児抱きて拝殿に入る
(栃木 那須野ヶ原法人 田村 恵子)
(栃木 那須野ヶ原法人 田村 恵子)
「よくぞ産み育ててくれました」と母に誕生日の今日初めて言へた
(北海道 札幌東 丸小 拓将)
(北海道 札幌東 丸小 拓将)
長男が多く語らず差し出すは嫁が選びしプレゼントかな
(新潟 新潟江南 栗山 靖子)
(新潟 新潟江南 栗山 靖子)
施設にて我が母のごとく会話する妻の姿にただただ感謝
(新潟 燕 加藤 勝巳)
(新潟 燕 加藤 勝巳)
一世紀生きて棺でおめかしし涅槃の祖父に会いに行く祖母
(宮城 宮城法人 佐藤 恭子)
(宮城 宮城法人 佐藤 恭子)
春きたら巣立ちゆく吾子に「楽しんで」そっと背中を押してあげたい
(福島 福島中央 手代木由美)
(福島 福島中央 手代木由美)
初めての孫の自転車練習で乗れたよろこび歓声にみる
(新潟 燕 廣川 三枝)
(新潟 燕 廣川 三枝)
キネシンはヨイショヨイショと体中に物質をはこぶ姿の愛おし
(宮城 仙南法人 野﨑とね子)
(宮城 仙南法人 野﨑とね子)
亡き父の椅子はそのままに居間に在り家族の話を聞いているよう
(群馬 藤岡 高山 恭子)
(群馬 藤岡 高山 恭子)
あの日から四十七年墓まいり今日は命日夏至の風吹く
(宮城 宮城法人 今泉 信吾)
(宮城 宮城法人 今泉 信吾)
新緑のみどりまぶしい公園を孫と歩いて手をにぎり合う
(茨城 新荘 藤咲 栄子)
(茨城 新荘 藤咲 栄子)
燕喜館茶箱の点前てきぱきと亭主務める孫に見惚れる
(新潟 新潟江南 坂井 範子)
(新潟 新潟江南 坂井 範子)
末っ子が初の給与で親孝行回転寿司も格別の味
(茨城 新荘 小祝 年織)
(茨城 新荘 小祝 年織)
サクサクと落葉踏みしめ公園の新緑芽吹く木立を散策
(群馬 藤岡 浅見知江子)
(群馬 藤岡 浅見知江子)
気がつけばお出掛けいつもスニーカーおしゃれパンプス下駄箱のすみ
(群馬 高崎中央 林 敏江)
(群馬 高崎中央 林 敏江)
親方の名も無き墓石を尋ねれば「よく来たのう」と蝶が舞い来る
(宮城 仙台 浅野 勝広)
(宮城 仙台 浅野 勝広)
母の日に一廻り下の妹は世話になったとプレゼント呉る
(茨城 牛久東 大野かつ子)
(茨城 牛久東 大野かつ子)
短歌こそは万能薬で医者である趣味きわめれば不老長寿か
(茨城 上水戸 畑岡 とし)
(茨城 上水戸 畑岡 とし)
足腰は歳増すごとに弱まるも無心になりて草取りはげむ
(茨城 鹿嶋 小澤ミチヨ)
(茨城 鹿嶋 小澤ミチヨ)
一面の写る青空今だけの田植えせし田は宇宙が二つ
(新潟 燕 堀 英子)
(新潟 燕 堀 英子)
急ぐなと我を待たせる雉一羽道を横切り悠々と行く
(秋田 秋田北 青柳栄利子)
(秋田 秋田北 青柳栄利子)
いつの間に温ったかボタンのなくなりて季節の移りを自販機で知りぬ
(茨城 結城 平石 香)
(茨城 結城 平石 香)
天空の桃源郷とは上野村住居附(すもうづく)なりピンクに華やぐ廃村の春
(群馬 高崎中央 亀田 美紀)
(群馬 高崎中央 亀田 美紀)
振り返る重ねた時のあれこれを選んだ先にこの日々がある
(茨城 那珂 藤野 珠美)
(茨城 那珂 藤野 珠美)
五年振りのリハビリ兼ねて太極扇(たいきょくせん)ちぐはぐなれど記憶をたどる
(群馬 赤生田 斎藤真紀子)
(群馬 赤生田 斎藤真紀子)
豊かなる秋田の田んぼ苗植えて五月の風に波立ち光る
(秋田 秋田北 小野千津子)
(秋田 秋田北 小野千津子)
物高し身体を思いやめた酒家計も助け一石二鳥
(茨城 取手 長妻 重夫)
(茨城 取手 長妻 重夫)
心地良い風受けながら山椒摘む手元の棘に神経集中
(群馬 前橋中央 織田つや子)
(群馬 前橋中央 織田つや子)
早苗積み朝日を浴びて田植機は鏡の水面滑るが如し
(秋田 秋田北 水沢 道博)
(秋田 秋田北 水沢 道博)
選をおえて
今月も投稿ありがとうございます。今年は、台風が多くきそうな沖縄です。淋しい時、つらい時、楽しい時も、私達には短歌があります。ぜひその気持ちを素直に短歌に詠んでみましょう。来月も皆様の個性的な短歌を待っています。