姑の椅子
熊本 あさぎり 上村 素子
立ち上がる姑を横目でチラリ見る椅子を調整シャイな夫なり
「よし立てた」高めの椅子から歩行器へ調整せし夫姑を見守る
評
温かいご家族の様子に素敵だなあと思いました。介護は、みんなの協力があってうまく回っていくものと思います。そして、介護を受ける身もみんなの優しさが励みになると思います。カロリー計算
熊本 古閑中 東家 桂子
ありがたく三食いただく食事には計算されて味も最高
食事待つ子雀に似た今の我配膳されたる料理に感謝
評
感謝の心は結句に詠まれた通り、味も最高となるのでしょう。今は子雀のように食事を待っているという表現も可愛らしく、カロリー計算された食事を有難くいただく姿が浮かびます。四羽のつばめ
大分 滝尾 後藤 哲也
我が家を故郷として育ちたる四羽のつばめ雲の彼方へ
あどけなき四羽のつばめ風に乗り明日の空へ飛んでゆけ
評
毎年、つばめは覚えているのでしょうか。実家に帰ったように子を育て飛び去って行く姿に感動と、4羽のつばめに対し、夢と希望と愛情がいっぱいこもった短歌です。母の日
大分 諏訪 薬師寺 綾
「今日の昼俺が作る」と長男が作りしチャーハン絶妙な味
封筒に「いちばんだいすき」メッセージ次男がくれた母の日ギフト
評
最高の母の日ギフトでしたね。日頃、お母さんが一生懸命がんばっていた証拠です。お子さんはしっかりみています。注がれた愛情はお子さんにしっかり伝わってますね。草刈
熊本 あさぎり 田山るり子
久しぶり息子は揃いて草刈りを力を合わせ庭木も剪定
連休に息子二人で草刈りを夫の墓前に喜び報告
評
お母さん思いの優しい息子さん達ですね。草刈りのたいへんな作業を母一人では無理と男の子ですね。兄弟仲良く、親としてまたうれしいことですね。健康器具
熊本 水前寺 緒方 和子
健康器具子からも届き増えてゆく朝な夕なに夫と勤しむ
リビングにさながらジムにいるような揉みほぐしたりペダル踏んだり
評
「リビングにさながらジムにいるよう」とは、うれしいことですね。健康でいるには運動が大切なので、お子さんはプレゼントされたのでしょう。続けていきましょう。妻
熊本 瓦屋 馬場上道弘
面会に膝腰悪い妻だけど着替え連絡忘れず届く
救急な入院だけどてきぱきと準備手配と忙しい妻
評
頼りになる奥様に感謝の2首。永年連れ添い、ご夫婦のお互いをおもいやる愛情の深さを感じました。早く良くなってくださいね。初節句
大分 東大分 宮﨑 玲子
兜などまだ知らぬ孫のあどけなさ瞳輝く初節句なり
兜被り凛々しい孫の初節句平安祈りこれから光も
評
大人は初節句だ、兜だとさわいでも、本人はよくわからないまま、大きくなり、大人になって、親になり、そのありがたさがわかるのでしょう。生まれて来てくれた男の子、どうか幸あれ。若葉
熊本 楠 笠 惠美子
友描く初夏の五岳は緑映ゆ阿蘇の息吹が聞えて来そう
熊本城緑むくむく膨らみて聳え立ちたる天守の威厳
評
熊本は素晴らしい自然と熊本城が誇りですね。郷土を愛する作者は、お友達の絵画から阿蘇五岳の雄大な初夏の若葉の景色に魅了され、短歌を詠まれました。素敵な2首です。短歌
「ゴックン」と一匙の粥母口に喉通る音聞く喜びよ
(熊本 瓦屋 白石眞智子)
(熊本 瓦屋 白石眞智子)
大分に嫁ぐ日異国に行く如と母の背中で泣いていた父
(大分 滝尾 橋本 悌子)
(大分 滝尾 橋本 悌子)
満開の白木蓮は夕暮れの花火のように白く輝く
(熊本 出仲間 中村ヒロミ)
(熊本 出仲間 中村ヒロミ)
草原に昨夜(ゆうべ)こぼれた星屑か青き小花のひなぎきょう咲く
(大分 東大分 河野 充宏)
(大分 東大分 河野 充宏)
バス旅行名所見るよりまずトイレ足元に目を危険が潜む
(大分 岩屋 小手川惠子)
(大分 岩屋 小手川惠子)
歌ごもり初参加して思うのは無欲無心で歌詠みゆかん
(大分 横瀬 西 久生)
(大分 横瀬 西 久生)
如月の火野正平の「こころ旅」父の故郷(こきょう)よ釘付けになる
(熊本 宮地 松並美保子)
(熊本 宮地 松並美保子)
深夜便作家で綴る日本の唄トークも唄も心に沁みる
(大分 亀川 大高 和子)
(大分 亀川 大高 和子)
母の日に娘と二人で食事する寿司を味わいいつしか笑顔に
(熊本 松橋 宮崎 則子)
(熊本 松橋 宮崎 則子)
辻立で夫は大きく手を振りて過ぎ行く車笑みつつ送る
(熊本 松橋 大村 幸子)
(熊本 松橋 大村 幸子)
川内へおれんじ鉄道十七人二時間余りおしゃべり時間
(熊本 北の丸 川﨑 裕子)
(熊本 北の丸 川﨑 裕子)
竹の子は一夜のうちに三十センチ人待ち顔で真直ぐに伸びる
(大分 木立 安藤 時代)
(大分 木立 安藤 時代)
「幸倫丸」二十二年の釣行は多くの人と共に楽しむ
(熊本 出仲間 岩永美智子)
(熊本 出仲間 岩永美智子)
うす紅の石斛(せっこく)生ければ夫の辺に初めての香のふいと寄り居る
(大分 鶴居 角野 史佳)
(大分 鶴居 角野 史佳)
米作り一坂越えてまた一坂たやすくなきを改めて知る
(大分 横瀬 三代 律子)
(大分 横瀬 三代 律子)
病気あれど先生の声力入る気を取りもどし頑張って見る
(熊本 菊水 村上 幸江)
(熊本 菊水 村上 幸江)
歌ごもり薩摩の地へと参加して百十余首の歌を詠む
(熊本 平井 後藤 秀子)
(熊本 平井 後藤 秀子)
長男は還暦迎えわれ米寿共に元気で会えて嬉しき
(熊本 松橋 佐藤 正人)
(熊本 松橋 佐藤 正人)
バス停に色とりどりの傘の花卯月の雨もひとしお楽し
(大分 臼杵中央区 木本 順子)
(大分 臼杵中央区 木本 順子)
デジタルの創生手続き悩ましく錆びつく脳の活性なるや
(大分 臼杵中央区 武藤 敏正)
(大分 臼杵中央区 武藤 敏正)
祈誓文(もん)紅き炎と燃え続け御霊となりて富士の裾野へ
(大分 東大分 宇髙 惠子)
(大分 東大分 宇髙 惠子)
「連休はこっちにおいで」孫の声嬉しき誘いに支度楽しむ
(熊本 あさぎり 椎葉 房次)
(熊本 あさぎり 椎葉 房次)
退職後暮らしが変わり三食の食事作りの楽しみ気づく
(熊本 あさぎり 杉野 万利)
(熊本 あさぎり 杉野 万利)
麦畑は青々として光さし麦ふみ姿の母うかびくる
(熊本 水前寺 石橋 正子)
(熊本 水前寺 石橋 正子)
焼肉会家族集まりわいわいと嫁さん二人の笑い声うれし
(熊本 瓦屋 山口美代子)
(熊本 瓦屋 山口美代子)
ひとり身は毎日包丁握りしめ何にしようか作る楽しみ
(熊本 北の丸 勇 英一)
(熊本 北の丸 勇 英一)
歌ごもり抜かりなきよう役員は着々準備や頭の下がる
(大分 ふじが丘 河野 英子)
(大分 ふじが丘 河野 英子)
選をおえて
今月も心に響く短歌がたくさん詠まれていました。正直にありにままを詠まれただけなのに、その背景や心情まで伝わり、私の想像は膨らみ、場面を想定しました。短歌を詠むことで、心が澄み、読んだ私も澄んでいく、そんなうれしい選をさせてもらいました。来月も楽しみにしています。